JUGEMテーマ:英語の文学

The Art of the Storyより

Jim Crace The Prospect from the Silver Hills

Edwidge Danticat Night Women

Lydia Davis The House Behind

の3篇を読み終わりました。

 

 

Jim Crace The Prospect from the Silver Hills

これまで知らなかったのですが、イギリスではよく知られた作家のようです。

ウェブ上にもあちこちに登場しています。

この作品は、孤独な主人公が徐々に正気を失っていく過程・・・と言うこともできますが、環境破壊に対する婉曲的な批判とも解釈できそうです。

もっと自然に、素直に、まっとうに生きようよ、という作者のメッセージが感じられます。

(本当にそういうメッセージを持たせたかったかどうかは、わかりませんけどね。)

私には主人公がpatheticに感じられて仕方がありませんでした。

だれか、なんとかしてあげて〜 という感じ。

 

Edwidge Danticat Night Women

ハイチ出身で、10代でアメリカに移住した作家。

名前は、日本版ウィキペディアによると、エドウィ−ジ・ダンティカと表記するようです。

この話はハイチが舞台のようです。これもいわゆるWorld Literatureの作品と言えるでしょう。

成長途中の息子と同じ部屋で娼婦として働いている女性の一人語り。

息子に対する愛情にあふれているのは十分理解できますが、生活が厳しいからといってその職業を正当化できるのか。

他にできることはないのだろうか。

ちょっともどかしく感じました。

 

Lydia Davis The House Behind

微妙な社会階層の差が、集合住宅の棟によって明らかになっている住まい。

そこでの何気ないやり取りが、あっという間に殺人事件になり、その後の住人たちの心理にそこはかとなく影響を与える。

いかにも現実にありそうな話です。

アメリカの作家で、フランス語の翻訳もしているということです。

でも、この話の舞台をフランスにしたのは何故でしょうか。

アメリカの大都市郊外にでも、ありそうな話だと思いますが。

2棟の集合住宅で、住む人の階層が違う、という設定が、アメリカでは難しいのでしょうか?

最後の段落は、事件後の人々の変化を説明していますが、蛇足のように感じられました。

でもそれは、私がこういう社会に暮らしていて、事件の影響を容易に想像できるから、なのかも。

 

2018年1月はPaddy Clarke Ha Ha Haを読む予定です。

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