2010.07.22 Thursday
映画の原作
JUGEMテーマ:英語の文学
やっと少し余裕が出てきたので、さっそく映画を見ました。「プレシャス」Precious: Based on the Novel Push by Sapphire
原作者サファイアは“パフォーマンス詩人”。Pushは彼女としては初めての小説。彼女の経歴を読むと、映画の主人公「プレシャス」と似たところが多いのに気づく。小説はプレシャス自身の一人称で、彼女の話し方そのままで書かれているらしい。最初の1行がこんな感じ:I was left back when I was twelve because I had a baby for my fahver.
映画にはマライア・キャリーやレニー・クラヴィッツも地味な役で出演。マライアはスッピンで低音で話す福祉課のソーシャルワーカー。製作にはオプラ・ウィンフリーもかかわっている。サンダンスとトロント国際映画祭で最高賞受賞。
この映画の解説を読んで、初めてNuyoricanという言葉に出会った。New York+Puerto Rican。
「プレステージ」The Prestige
原作はイギリスの作家クリストファー・プリースト(Christopher Priest)の1995年の小説「奇術師」(The Prestige)。ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞と世界幻想文学大賞の受賞作。邦題「プレステージ」と聞いて、初めpre stageかと思ったが、実際は手品の3段階(the setup, the performance, the prestige)から来ている。
映画は原作とは少々違っているらしいが、日記と回想によって時間が前後する構成は同じらしい。原作者も映画版を気に入ったとのこと。
「手品」だからタネがある、と思っていると、あらら・・・という間に現実から離れてしまうところが「幻想文学」。鍵を握るのはニコラ・テスラ(エジソンのライバル?)。映画ではデヴィッド・ボウイが演じていたが、ボウイのイメージとは印象がかなり違っていたので、言われなければ気づかなかった。
ウィキの解説で気になったのは、次の点。英語で読んだら訳が分からなくなるかも。
Priest's work often features unreliable narrators, and thereby raises questions about narrative, truth, and the nature of memory and reality.
映画全体の印象がH.G.ウェルズに似ていたが、時代設定のせいだけではなく、プリーストはウェルズの影響を強く受けているらしい。
Wikipediaの記述:He has been strongly influenced by the SF pioneer, H. G. Wells, and in 2006 was appointed to the distinguished position of Vice-President of the international H. G. Wells Society.