2011.12.26 Monday
Tangled Webより(3)
JUGEMテーマ:英語の文学
Tangled Webを読み終わりました。Sharp Practice はフォーサイス(Frederick Forsyth)の作品。詐欺師の話です。途中でポーカーの説明が長々と続くので、ちょっと飽きてしまいました。ある程度予想できる結末ではありますが、ロアルド・ダールの「予期せぬ出来事」のようなテレビ単発ドラマにしたら面白そうです。
Clare BoylanのEdna, Back from America は、1994年の作品だけあって、現代的な問題を扱っています。最近の親族関係は複雑なので、登場人物の関係の把握には、柔軟な意識が必要なようです。登場人物がどこまで正直に話をしているか分からないという点も、話を複雑に、かつ面白くしていました。
Neighbours (Paul Theroux)はEnglishman in New YorkならぬAmerican in London。イギリス文化に理解があるつもりの主人公が、実は一番ワカッテないのかも?と徐々に思えてくるところが興味深いです。2回、3回と読み直すと、あちこちにヒントが見つかるというのは、前のEdna, Back from America とも共通しています。
The Model Millionaire (Oscar Wilde)はいろいろな短編集や教科書にも掲載されていて、翻訳も手に入りやすいです。私はこの本で初めて読みましたが、短い文章に簡潔に必要な情報が書き込まれていて、さすがにワイルドだと思いました。ただこの話で問題なのは、時代が1世紀も前だということです。金銭感覚がまったく分かりません!当時の1万ポンドは、一体どういう金額なのか。物語中の比較対象として、1ポンドで辻馬車が10日間乗れるという情報はあるものの、当時の交通事情も分かりません。そういえばNeighbours でもアパートの家賃の話が出てきて、これはいったい安いのか高いのか?と思いました。ネットでロンドンのアパート情報も見られますが、東京と同様、地域によって家賃にはかなり違いがあります。物語中のアパートの場所が、ロンドンではどのような地域とみなされているのか、という点まで分からないと、家賃の高低は判断できません。19世紀末の物価は、イギリスの文化史、市民の歴史などの本を見ればヒントは得られるかもしれませんが、今回はそこまで余裕はありませんでした。
最後のThe Hero (Joanna Trollope)は、短編集の最後にふさわしい「物語」についての物語でした。事実は小説より奇なり、ということもありますが、問題は事実かそうでないかよりも、いかに表現するか、なのかもしれません。