2012.02.09 Thursday
Nocturnes
JUGEMテーマ:英語の文学
Five Stories of Music and Nightfall by Kazuo Ishiguro3つ目の作品まで読みました。
どうも徐々にカズオ・イシグロが好きでなくなるような気がしていましたが、日本語翻訳書の訳者あとがきを読んで、少し考えが変わりました。
これは短編集ですが、いわゆる短編を集めたものとは違うということです。
ひとつは、これら5つの話は互いに関連性を持っているということ。同じ人物を登場させる複数の短編を書いている作家もいますが、それとも違います。登場人物の内、ひとりだけは2つの物語に出てきますが、関連性があるのはMusicとNightfall以外は具体的な人物や物ではなく、人間関係や心中の葛藤でしょう。中年以降の夫婦の関係と、音楽家の自分の音楽と世間に対する感じ方は、これまでのところ、かなり共通しています。5つの物語をそれぞれ独立した話として考えるべきではなく、全部読んでしまってから初めて各作品の価値が分かるのかもしれません。