2013.03.14 Thursday
「英雄」 by Joanna Trollope 試訳(2)
それはごく狭い場所で、今にも倒れそうな塀に囲まれ、冬なのに雑草だらけだった。五、六個ある墓石のほとんどはひどく傾いていたが、たったひとつ、よく手入れされたものがあった。周囲の雑草はざっと刈りとってあり、白い鉢に赤いジェラニウムが植えてあった。墓標にはこう簡単に刻まれていた:
エドワード・アーチボルド・キャンベル
1895-1957
英国殊勲賞、仏国軍功十字章
彼は長いことその墓標を眺め、それから地面を見た。その下にはエドワード・キャンベルが、夫であり英雄であり、軍政府長官だった男が眠っている。突然、彼は感謝の念に駆られ、しばしひざまずき、目を閉じた。彼の膝の下には、ただ男が眠るだけではない、物語が眠っているのだ。
エドワード・アーチボルド・キャンベル
1895-1957
英国殊勲賞、仏国軍功十字章
彼は長いことその墓標を眺め、それから地面を見た。その下にはエドワード・キャンベルが、夫であり英雄であり、軍政府長官だった男が眠っている。突然、彼は感謝の念に駆られ、しばしひざまずき、目を閉じた。彼の膝の下には、ただ男が眠るだけではない、物語が眠っているのだ。