2013.09.16 Monday
Raw Water by Wells Tower
JUGEMテーマ:英語の文学
旅行に出ている間にクラスでは読み終わっていたので、クラスのディスカッションとは関係なく、さらっと読みました。
ほんとうにさらっと読めば、おそらくハァ?という印象でしょうが、この話の要は、どことなく感じられる恐ろしさ。
登場人物のちょっとした特徴(若い女性の目の位置がずれている)や現象(年配と思われる女性が乳児に母乳を与えている)、あるいは主人公たちのちょっとした変化(久しぶりの性生活とか、夫が若い女性に興味を持つとか)、まぁ、そういうこともあるさ、と言ってしまえば済む程度のことがたくさんある。
登場人物の中には、人口湖の水は体には入れないと言い切る人もいる。湖で泳いだり貝を食べたりしている人たちは、意識して見れば、確かにおかしい。
これは以前のThe Netherlands Lives With Waterと同じ雑誌McSweeney'sの32号に掲載された短編だそうで、やはり未来(2024年)における危機を描いています。同じテーマの雑誌から2編を取るというのは編集上の問題だっただろうと推測しますが、The Netherlands Lives With Waterは目に見える危機を描いているのに対して、この話の危機は目に見えず、気づかない内にジワジワと迫ってきている(かもしれない)という点で、違うタイプの短編として扱うことができるでしょう。
さて、これでやっとThe Best American Short Stories 2010を読み終わりました。
出版後2年経ってしまいました。やれやれ。